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国土交通大臣による執行停止決定と是正勧告の矛盾

 翁長沖縄県知事による公有水面埋立承認取消について、沖縄防衛局が国土交通大臣に審査請求と執行停止申立をしていた件で、10月27日、国交大臣は執行停止を決定した。あわせて、同じ日の閣議で、国土交通大臣が沖縄県知事に対して是正を求めたうえで、従わない場合は代わりに埋め立てを承認する「代執行」の手続きを進めることを了解し、10月28日には、国土交通大臣が、翁長知事に対し、「公有水面埋立法に基づく埋立承認の取消処分の取消しについて(勧告)」を発した。

10月27日執行停止決定
https://www.sugarsync.com/pf/D6396602_05650881_6507510

10月28日是正勧告
https://www.sugarsync.com/pf/D6396602_05650881_6507526

 同じ国交大臣による10月27日付け執行停止の「決定書」と、10月28日付け「勧告」。この二つの文書を読んで唖然とした。相矛盾することが平気で書いてあるではないか。
 10月27日付け決定書は、わずか4頁の文書で、沖縄防衛局の執行停止申立をなぞっただけのものである。沖縄県が提出した千頁近い意見書をきちんと検討したとは到底思えない代物であった。
 そして10月28日の勧告。これは代執行の前提となるもので、県知事が勧告に従わない場合に、国交大臣は代執行命令を求めて福岡高裁那覇支部に訴訟提起することになる。
 10月28日の勧告には、翁長知事の「承認取消」が違法であると書いてあるが、なぜ違法なのか、全く理由が記載されていない。そして、驚くべきは以下の一文である。
 貴職が行った取消処分について、法その他の法令には他の機関がこれを取り消す規定はなく、かつ、貴職は一貫して公有水面埋立てにかかる事業の阻止を主張していることから、取消処分を維持する意思は固いと言わざるを得ず、地方自治法第245条の8第1項から第8項までに規定する措置以外の方法によってその是正を図ることが困難であります。

 国交大臣は、10月27日には、沖縄防衛局の申立を認めて執行停止決定を出している。これはつまり、沖縄防衛局の審査請求適格を認めたということであり、審査請求手続きで「翁長知事の承認取消処分」の取消しができるという意味である。
 にもかかわらず、翌28日の勧告で、国交大臣は、翁長知事が行った取消処分について、「法その他の法令には他の機関がこれを取り消す規定がないから、代執行以外の方法でその是正を図ることは困難」としている。
 明らかに矛盾しているではないか。

 私は、今回国が手続きをとるとすれば、国交大臣による代執行であり、沖縄防衛局による審査請求・執行停止申立は手続きとしておかしいと考えている。(代執行しろという意味ではない。あくまで手続き上の正当性の問題である。)
 10月28日の国交大臣の勧告で、「法その他の法令には他の機関がこれを取り消す規定はな(い)」としたのは、審査請求は無理筋と認めたと言うことか?だとしたら、沖縄防衛局の審査請求は速やかに否定されなければならない。

 それにしても石井啓一という国交大臣。わずか1日違いで明らかに矛盾する文書を出すとは、何を考えているのか。それとも何も考えていないのか。矛盾に気づいてすらいないのか。いずれにせよ、大臣に相応しくないことだけは明らかである。
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国交大臣による執行停止決定と、代執行の閣議了解について

 翁長沖縄県知事による公有水面埋立承認取消について、沖縄防衛局が国土交通大臣に審査請求と執行停止申立をしていた件で、10月27日、国交大臣は執行停止を決定したとのことである。
あわせて、同じ日の閣議で、国土交通大臣が沖縄県知事に対して是正を求めたうえで、従わない場合は代わりに埋め立てを承認する「代執行」の手続きを進めることを了解したという。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20151027/k10010283881000.html

 茶番にも程があり、これを表現する的確な言葉が見つからない。
 まず、公有水面埋立承認をめぐる一連の手続きに国交省が関与したのは、沖縄防衛局が審査請求と執行停止申立をした10月14日が初めてである。そして、沖縄県が千頁近い反論書類を提出したのが22日である。わずか2週間にも満たない間に何を審査したというのか。
 そして、沖縄防衛局による審査請求と執行停止申立は、沖縄防衛局が「自分は一事業者(一般私人)である」と称して、行政不服審査法を利用して行ったものである。国交大臣が執行停止を認めたということは、沖縄防衛局は一事業者(一般私人)と認めたということである。軍事基地を作る埋立を一般私人として行うなど、あまりにばかばかしい話だ。

 それと同じ日に、国交大臣と防衛大臣を含む閣議で、「代執行」の方針を了解したというのであるから、これはもはやあきれるしかない。一般私人と称する者と、その不服申立を受けた者が、今度は仲良く閣議に同席し、「代執行」というまさに国家権力を行使する方針を確認したというのである。場当たり的にも程があるではないか。
 繰り返すが、沖縄防衛局は、自分は一般私人だと言って、県知事による承認取消に対する審査請求と執行停止を国交大臣に申し立てた。そして、国交大臣はこれを認めて、執行停止を決めた。つまり、沖縄防衛局を一般私人だと認めた。
 では、本当に純粋一般私人(企業)が公有水面埋立免許を求め、県知事がこれを認めなかった場合、国が代執行の手続きをとることがあり得るであろうか?そのような場合は、純粋一般私人(企業)は国交大臣に審査請求を求め、これが認められないなら訴訟提起するはずである。純粋一般私人(企業)の免許申請を県知事が認めなかった場合に、国が代執行を行うなど、現実的にあり得ない話である。

 そして、地方自治法は、代執行の前提となる「勧告」の要件を以下の通り定めている。
 地方自治法245条の8第1項
各大臣は、その所管する法律若しくはこれに基づく政令に係る都道府県知事の法定受託事務の管理若しくは執行が法令の規定若しくは当該各大臣の処分に違反するものがある場合又は当該法定受託事務の管理若しくは執行を怠るものがある場合において、本項から第八項までに規定する措置以外の方法によつてその是正を図ることが困難であり、かつ、それを放置することにより著しく公益を害することが明らかであるときは、文書により、当該都道府県知事に対して、その旨を指摘し、期限を定めて、当該違反を是正し、又は当該怠る法定受託事務の管理若しくは執行を改めるべきことを勧告することができる。


 つまり、他の方法によって是正を図ることが困難かつ放置することにより著しく公益を害することが明らかという要件が課されている。
 今回、国交大臣が沖縄防衛局による行政不服審査法に基づく執行停止申立を認めたということは、代執行以外の方法があるということではないか。明らかな自己矛盾である。

 もはや安倍自公政権に法治国家を名乗る資格はない。

埋立承認取消目前

 今朝の報道によると、翁長知事は、10月13日にも仲井真前知事の埋立承認を取り消す方針だという。
 翁長知事誕生後、辺野古を巡っては様々な出来事があったが、埋立承認を取り消すがどうかは最大の焦点であった。埋立承認を取消すれば、沖縄防衛局による埋立の法的根拠が失われる。埋立承認の取消は辺野古新基地建設を止める切り札だと考えられていたからである。
 翁長知事誕生を支えた革新側の人たちは、翁長知事が少しでも早く承認取消することを願っていた。しかし、翁長知事は保守の人である。その手法はとても手堅く、時間がかかっている。沖縄県民には、県外移設を公約に掲げながら手のひらを返した仲井真前知事のトラウマがある。また裏切られるのではないか、と疑心暗鬼になるのも無理はない。
 翁長知事は、ゆっくりと、確実に、承認取消に向けて足を進めてきた。
 まず、翁長知事は、第三者委員会を立ち上げ、仲井真知事の埋立承認に瑕疵がないかを諮問した。その後の国との法廷闘争を考えれば、このような慎重な手続は必要であったと思う。
 翁長知事がさらに慎重にならざるを得なくなったのは、2015年3月、沖縄県が沖縄防衛局に対して岩礁破砕許可時の条件に基づく停止指示をしたのに対し、沖縄防衛局が農水大臣に審査請求と執行停止申立を行うという「禁じ手」を使ったからだ。
 沖縄防衛局の申立は、地方自治法255条の2第1号に基づいている。

  地方自治法255条の2
 他の法律に特別の定めがある場合を除くほか、法定受託事務に係る処分又は不作為に不服のある者は、次の各号に掲げる区分に応じ、当該各号に定める者に対して、行政不服審査法 による審査請求をすることができる。
一 都道府県知事その他の都道府県の執行機関の処分又は不作為 当該処分又は不作為に係る事務を規定する法律又はこれに基づく政令を所管する各大臣
 

 この法律には強い批判がある。法定受託事務は地方公共団体の事務であるため、国は地方公共団体の上級行政庁には当たらない。上級行政庁でもない国が、なぜ、地方公共団体の判断を覆せるのかという問題がある。
 これは、審査請求人が一般私人であったとしても生じる問題である。
 沖縄防衛局は、自分は一事業者(一般私人)であると称して、審査請求を行った。国の組織である沖縄防衛局が、沖縄県の判断を不服として、国の組織である農水省に審査請求と執行停止申立をしたのである。そして、農水大臣は、沖縄防衛局の主張を認め、あっという間に、沖縄県による「岩礁破砕許可時の条件に基づく停止指示」の効力を執行停止した。こんなことが認められれば、辺野古に限らず、国が事業者である事業は、国のやりたい放題であるが、辺野古ではそれがまかり通ってしまっている。三権分立と地方自治の完全否定である。

 これに味をしめた政府・沖縄防衛局は、翁長知事が公有水面埋立承認を取り消せば、同じように、今度は国土交通大臣に審査請求と執行停止申立をするであろう。そして、内閣の一員である国交大臣は、承認取消の効力の執行停止をあっという間に認めるであろう。つまり、埋立承認取消は、辺野古新基地建設を止める重要な一手ではあるが、これだけで建設を止めるとどめの一撃ではなり得なくなってしまったのである。
 今、翁長知事ら県執行部は、国がどんな手を使ってくるか、様々なシミュレーションをしているはずである。
 もし、埋立承認取消の手続に不備があれば、沖縄防衛局が国交大臣に審査請求をしたとき、国交大臣は真っ先に手続の不備を指摘し、埋立承認取消の効力を無にするであろう。そうなると、沖縄県は、第三者委員会を設けて慎重に検討した「埋立承認の瑕疵」の中身について、実質的な議論をする場すら失ってしまう。したがって、埋立承認取消までの手続は、慎重に慎重を期さざるを得ない。手続を慎重にしたいという心情は、弁護士としてとてもよく理解できる。
 また、翁長知事やその周辺は、国交大臣が埋立承認取消の効力を執行停止した後の手続についても考えているはずだ。
 翁長知事の歩みが遅いのを非難するのは簡単だ。しかし、翁長知事らは、国との間でものすごい闘いをしている最中だ。翁長知事が絶対ではないし、意見を述べることは必要であるが、支持者が足の引っ張り合いをするようなことは絶対にしてはならないと思う。
 翁長知事は13日頃にも埋立承認を取り消す方針だという。これまでの経過に照らし、これ以上の先送りはないと思われる。翁長知事がいよいよカードを切る。その後、圧倒的に国が有利な審査請求手続が始まると予想されるが、翁長知事ならば、沖縄のみならず本土の世論を味方に付けながら、したたかに戦ってくれるのではないかと思う。
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